調布市仙川町の皮膚科
仙川皮フ科クリニック

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皮膚真菌症について(水虫・マラセチア・真菌症)

白癬菌感染症(水虫)

水虫とは、白癬菌というカビが皮膚や爪に付着し、侵入すると起こる感染症です。わが国では足白癬(足水虫)にかかっている人が5人に1人、爪白癬(爪水虫)にかかっている人が10人に1人と言われています。人にうつることもあるので、自分のためだけでなく、まわりの人のためにも治療することが大切です。白癬菌感染は、皮膚表面の鱗屑を直接顕微鏡で検鏡して迅速診断し、治療する事ができます。

■足白癬(水虫)
足の水虫はまず塗り薬で治療します。塗り薬にはクリーム剤、液剤、軟膏剤などがあり、症状に合った剤型を用いないとかえって水虫を悪化させることがあります。再発を繰り返す場合や踵の角質増殖型には、のみ薬の内服療法もお伝えしております。

■爪白癬(爪水虫)
内服薬による治療
爪の水虫治療の基本は内服薬による治療です。のみ薬による治療は約6カ月毎日のむ「連続投与法」と、1週間お薬をのみ3週間は服用を休むサイクルを3回繰り返す「パルス療法」とがあります。他の薬とののみ合わせや肝機能異常という副作用もあるので、月に1回血液検査を行います。詳しいことは診察の際に説明させていただきます。
外用薬による治療
内服薬が使用できない場合は、以下の治療を行っています。

  • 1:歯科用電動ドリルを使用して爪削りを行い、従来の外用薬が爪に浸透しやすいように工夫して塗ります。
  • 2:クレナフィン(爪白腫治療薬)で治療します。
    2014年9月から保険適用となった薬で、爪に直接塗る(マニキュアを塗るように)外用液です。
    爪での薬剤の透過性に優れており、爪甲内・爪床で高い抗真菌活性を発揮します。

■体部白癬(俗称たむし)
最近はペットブームに伴いペットのカビ(M.canis)が人の頭や体に感染して、体の水虫(たむし)になることがあります。家の中で猫や犬を飼っている人は、ペットのカビの病気に注意し、疑わしい時は皮膚科で、またペットは獣医師の診察を受けてください。

癜風菌感染症(マラセチア毛疱炎・癜風)

マラセチア毛包炎

毛包内の常在菌であるマラセチア菌が、高温多湿や多汗などの環境下で増殖し発症します。運動をする若年者や汗をかきやすい夏に発症する傾向があるようです。胸背部、肩、上腕外側にできる痒みを伴った、2~3mmの紅色丘疹や膿疱です。臨床症状はニキビに類似していますがcomedoを形成することはほとんどなく、ニキビ治療には反応しません。かゆみを伴うため湿疹やアセモと誤診され、強いステロイド軟膏を塗ることでさらに悪化しているケースもしばしば見られます。

■真菌迅速検鏡検査(KOH法)
毛包内容物を採取し、顕微鏡で大型の胞子を多数認めることで迅速診断可能です。

■治 療
抗真菌薬の外用および内服によって、2~4週間で改善します。しかし、こじらせると改善後に色素沈着を残すこともあるので気をつけましょう。

癜風(でんぷう、俗称ナマズ)

青年男女に好発し、春~夏にかけて多くみられます。胸や背中に淡褐色斑あるいは脱色素斑として出現し、ときに融合してまだら模様になることもあります。発汗が要因の1つと考えられています。

■真菌迅速検鏡検査(KOH法)
皮膚表面の鱗屑を採取し、顕微鏡で太く短い菌糸と球状の胞子が大量に認められることで迅速診断可能です。

■治 療
癜風に対するMICの低いケトコナゾールの外用や、イトラコナゾールの内服が著効します。 しばらく色素沈着や色素脱失などの色素異常が長期間残ることがあり、菌陽性時に露光すると色素脱失を生じやすいようです。同じ季節に繰り返し再発することが多いので、再発予防として、定期的に外用療法を行うと良いでしょう。

新しい真菌症(trichophyton tonsurans)

■Trichophyton tonsurans
2000年頃より国内の格闘技競技者(柔道部員やレスリング部員)の間で集団発生していた皮膚真菌症から分離同定された、新しい白癬菌です。最近では他のスポーツ選手や家族内、低年齢層への感染拡大が報告され、学校教育現場を中心として社会問題化しています。もともとTrichophyton tonsuransは中南米の頭部白癬の主要原因菌として知られていましたが、1960年代に米国で流行し、1990年代に欧州にも拡大し、その後欧米・韓国の格闘技競技者間で感染者が急増しました。日本へは格闘技競技者の遠征などで海外から持ち込まれ、今や全国的に流行していると考えられています。
【臨床症状】
頭部と体部(顔面~上半身)に主として感染し、痒みの程度は、強い痒みを訴える人からかゆみを自覚しない人までさまざまありますが、症状の軽い人が多いので見逃されやすいようです。治療しなくても半年程で自然に症状は消失しますが、菌は毛疱内に寄生し続け、保菌者となって部員間や家族間での感染源となります。
頭部では、フケ状の白色鱗屑が付着するもの(脂漏型)、面疱様黒点を有する脱毛斑があるもの(BDR型)、強い炎症を伴う膿疱があるもの(ケルズス禿瘡型)に分類されます。体部では顔面、頚部、上半身などの露出部に単発あるいは多発する直径1~2cmのカサカサした紅斑が多く、時に環状なものや水疱・膿疱を伴うものもあります。
【診断と治療】
臨床症状と病変部のKOH直接検鏡や真菌培養による分離同定によって診断します。頭部白癬は各病型ともに抗真菌薬(イトラコナゾール、テルビナフィンなど)の飲み薬が原則として必要です。体部白癬には抗真菌薬の塗り薬が有効ですが、体部白癬を繰り返す症例では頭部白癬の合併や保菌者であることも多いので、状態に応じて飲み薬も必要です。

点状角質融解症(pitted keratolysis)

■点状角質融解症(蚕食性角質融解症 pitted keratolysis)

患者 熱帯地方の素足で生活する人にしばしば見られます。
日本でも長時間靴やブーツを履くなどして、多汗状態にしていると発症します。
症状 足底、趾腹などの機械的圧迫を受けやすい部分の角質がクレーター状に陥凹します。
不潔にしておくと融合して足の裏全体に拡大し、特有の悪臭を放つようになります。
原因 細菌(corynebacterium属、streptomyces属)
この細菌から出される角質融解酵素によって、角質が虫食い状に腐食します。
治療 抗生物質の外用剤を塗布します。水虫や湿疹の塗り薬では治りにくいです。
(1)足を十分に洗い、清潔にしておく必要があります。
(2)ブーツはしばらく避け、また、同じ靴は続けて履かないようにします。
(3)制汗・消臭剤を使用しながら、足を乾燥させます。
(4)ニキビの外用剤であるクリンダマイシンゲルやローションで治療します。